兄弟愛deある


夏は、ホラー映画や肝試し、怪談話なんかのシーズン。
恐い話が嫌いなわりに、恐い話をしたがるヤツってよくいる。

たぶんというか間違いなく、それは怖がるのを見られたくないという感情からくる、
その自己防衛手段なのだと思う。
相手より早く、そして相手より多く喋れば、相手からの話を聞かなくてすむ。

はい。僕もその一員です。


僕には持ちネタとして、よく話すとっておきの怪談話がある。勿論、実話の体験談。


特に霊感があるわけではないのだが、それは実際にあった怖くて切ない話。

話としてはまとまり過ぎているから、少し信憑性に欠けるのだが、
僕自身その話をする度に何日間か【思い出し怖い】になる。

今度みんなで怪談話をするときは是非とも語りたい。



話は少しだけずれるが、昔、姉が金縛りにあった。

その頃は千葉県習志野市の何の変哲もない住宅地のマンションに住んでいて、
部屋数が多くなかったから、三人兄弟の内の二人は同じ部屋で寝ていた。

基本的には姉が一人部屋なんだけど、
その年は兄が受験をするということで、僕と姉が同じ部屋に。


僕の姉は女性特有のわがままを平気で言いこなす自分勝手な人間。

姉がダイエットをしていたときに、
「私が何かを食べようとしたら殴れ」みたいなことを言っていて、
確か、蒸しパンかなんかだろうけど、僕が同じ部屋にいるにもかかわらず、
堂々と食べようとしていたので、「姉ちゃん食べちゃダメだよ!」って忠告すると、
「私の勝手でしょ!」 とか平然と言ってのける。


まぁそんな姉なので祟りがあって当り前なんだが、
姉が金縛りにあったときはけっこうビックリした。




その夜僕らは、リビングでホラー映画を食い入るように見ていた。
内容もなかなかだったので、正座して、神経を研ぎ澄まして見ていた。
映画自体は面白かったのだけど、まだまだ子供だった僕は、
眠気には勝てず、部屋に戻って寝ることにした。



その後何時間か布団の中にいたのだが、
ふと夜中に目が覚めて、隣を見ると姉の姿がない。


まだテレビ見てんのかなぁとリビングを見に行くと、
姉が苦しそうに横たわっている。

眠ってはいるようだが、どうも様子がおかしい。


僕はホラー映画を見ていたのがつい先ほどだったので、
瞬間的に「姉ちゃんが金縛りにあってる」と思った。

マジでビックリした。
僕は勿論金縛りにあったことがないので、どう対処して良いかわからなかった。

しばらくすると、またスヤスヤ寝息を立てていたので、ホッと一安心。




そのとき、僕は気が付いた。

姉は金縛りにあっていたのではなく、足がしびれて動けなかったのである。
正座をしながらテレビを見ていて、そのままうつらうつら・・・。

ある意味、素晴らしいバランス感覚である。



明くる日、姉が「聞いて!昨日姉ちゃん金縛りにあってさぁ・・・」と
やや自慢気に話していたので、
僕は真実を伝えるべきか、姉のステータスを守るべきか悩んだ末、
結局は黙っておくことにした。



そして、大人になった今でも、姉はその事実を知らない。




これが丹羽家の兄弟愛である。







ここで一句
「あの日から 姉との距離を 感じてる」
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by NIWALAND | 2008-08-25 00:56 | NIWA